アレルギーの仕組み(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型)


アレルギーの仕組み


【 免疫 】
免疫とは外界から異物が体内に侵入してきたとき、それに対する抗体をつくり、病原体などをやっつけます。そして、次に同じ病原体が進入して来たときには、すでにつくられている抗体やリンパ球などによって異物を退治し、病気が起こらないようにするシステムです。

私たちの体の中には、つねに異物が侵入してきます。空気とともに鼻から、食物にくっついて口から、そのほかにも傷口とか、さまざまな経路を通って異物が侵入してきます。人間が呼吸をすれば、空気と一緒にさまざまな異物が鼻から飛び込んできます。しかし、異物の中の大きな物は鼻毛にひっかかり、また、鼻の中にはリゾチームなどの殺菌作用を持った物質がありますので、それによって殺されてしまう異物もあります。

鼻毛やリゾチームなどのバリアをくぐり抜けた異物は、次に扁桃腺で食い止められルことになります。さらに、次の関門は気管支で、気管支の纎毛が働いて粘膜を分泌し、その中に異物を取り込んでタンとして体外に出てしまいます。こうしたいくつもの防御壁をくぐり抜けて体内に侵入してくる異物に対しては、肺の中のマクロファージに食べられてしまいます。それでも完全に排除することができない強力な細菌やウィルスに対しては、T細胞やNK細胞が働いて破壊したりして排除します。これが人間が身につけている外部からの異物に対する防御法と考えれれます。


【 IgE抗体 】
「抗原抗体反応」は、外界から侵入してきた病原菌などの異物から体を守ろうという働きをするわけですが、アレルギー反応は抗原抗体反応が体にとってマイナスに働き、都合の悪い結果をもたらすのです。たとえば、卵を食べ続けるとじんましんがでる場合、抗体、つまりジンマシンの原因となる物質は卵のたんぱく質です。したがって卵が体内に入ってきた時に抗体が作られ、その後、卵が体内に入ってくると、すでに作られた抗体と新たに入ってきた抗原(卵)が反応して抗原抗体反応が起こり、それがジンマシンという形であらわれるのです。

ただし、卵の量が少しだけだったらアレルギー反応を起こさないこともあり、一度にたくさん食べたり、繰り返し食べたときにアレルギー反応がおこるのです。そのアレルギー反応の中心的な役割をするのが、免疫グロブリン(Ig)という抗体で、それにはIgA・IgD・IgE・IgG・IgMの五つのタイプがあります。その中のIgE抗体は血清中に微量に存在する免疫グロブリンで1966年に発見されたものですが、アレルギー疾患の研究では、もっとも研究されている抗体です。ダニやホコリ、動物の毛やフケなどの異物に反応する抗体の中心的なものです。

【 アレルギーのタイプ 】
アレルギーにはその反応の起こりかたによって、つまり反応のあらわれるまでの時間や症状の起こる部位などの違いによって、大きく4つのタイプに分かれています。



Ⅰ型アレルギー

I型アレルギーは、抗原が侵入してくるとIgE抗原がつくられますが、これが大量につくられた場合に起こすものです。 早ければ15〜30分くらいで症状があらわれるもので、この症状は1〜2時間くらいで消えてしまいます。「即時型」や「ジンマシン型」ともいわれています。

一般にアレルギーといわれる症状のほとんどがこのI型で、急激にショック症状を起こすアナフィラキーショックもこのタイプです。また、花粉症などのアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、急性ジンマシン・食物アレルギー・薬物・気管支ぜんそくなどの発作もI型アレルギーの症状です。

Ⅱ型アレルギー
Ⅱ型アレルギーは「細胞障害型」ともいわれていて、免疫の異常反応が自分の体の細胞や組織を破壊してしまうことを言います。免疫というのは体内に侵入した異物を攻撃したり排除したりする機能で、時には自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう抗体をつくってしまうことがあります。おもな疾患としまして、自己免疫性溶血・不適合輸血・血小板減少・紫斑病などがあります。

Ⅲ型アレルギー
Ⅲ型アレルギーは「免疫複合体型」とも言われてるもので、抗原と抗体が結びついてできる免疫複合体が原因で起こるものです。抗原抗体複合物が、血液やリンパ液に乗って全身をまわり、この抗原抗体複合物と結合しやすい組織でアレルギー反応を起こすものです。おもな疾患としまして、血清病・糸球体腎炎・リウマチ・膠原病などがあり、いずれも治療が難しいといわれています。

Ⅳ型アレルギー
Ⅳ型アレルギーは「遅発型」アレルギーとも言われ、即時型のⅠ型と比べて症状があらわれるのが遅く、1〜2日かかります。ツベルクリン反応や接触性皮膚炎がこのタイプで、おもにアレルゲンの刺激を受けたT細胞が関与して起こります。Ⅰ〜Ⅲ型のアレルギーはIgE抗体が関係していましたが、Ⅳ型はリンパ球によって引き起こされます。リンパ球が抗原と反応してさまざまな化学物質伝達を放出して、アレルギー反応を起こすものです。

<アレルギー疾患に使用される薬>
アレルギーの治療には症状にあわせて、外用薬・内服薬・注射薬・吸入薬・などざまざまな種類のものがあります。

こうした薬の中でも、多くのアレルギー疾患に共通して使われるのが、抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤・抗ステロイド剤などで、これらの薬について簡単に説明します。

抗アレルギー剤
アレルギー症状を起こすヒスタミンやセロトニンなどの化学伝達物質が放出されるのを抑えたり、その働きを阻害する薬の事です。抗アレルギー剤は予防薬として使われることが多く、一定期間以上、服用を続けないと効果があるかどうかの判断がつきません。また、症状によっては、他のお薬と併用して使用する場合もあります。

抗ヒスタミン剤
アレルギー症状を引きこす、化学伝達物質の中のヒスタミンの作用を抑制するための薬です。ヒスタミンは、血管や臓器にあるヒスタミンレセプター(受容体)を持つ細胞と結合すると、炎症反応や平滑筋の収縮などを引き起こします場合があります。抗ヒスタミン剤は、その受容体に結合するのをブロックし、炎症などが起こらないようにする作用があります。ただ、眠気・だるさ・口の渇きなどの副作用がありますので自動車などの運転には注意が必要です。